自分に出会う日
月曜日にお休みをいただいて、千葉県最南端の館山に行ってきた。館山はかのフリーダイバー、ジャック・マイヨールが終の棲家として選んだ地。千葉県人でありながら、なかなかじっくりとその地を味わったことがなかったことが、ずっと気になっていた。
いいにおいだ。風もここちいい。砂の感触。水の冷たさ。
行きかう船の影が時間の経過を教えてくれる。
人は生かされている。時間と空間に。このちっぽけな生命体が、その魂のちいさな鼓動にふるえている。
夜。一人。真っ暗な海岸線。星空の下で自分の小さな「生」について考える。そんなことをテーマに、昔ヘアーショーをやってみたっけ。
でも、伝え切れなかった。今考える。真っ暗な波打ち際で。俺の命はどこではじければいいのか?!
翌日、写真が好きな自分は「海岸美術館」にいってみた。この小さな旅の2つめの目的がここにいってみることだった。
浅井慎平さんの美術館は、十分に自分をインスパイアーしてくれた。想像以上だった。
海の近くでありながら、森に囲まれたその佇まいは日々の生活の中にある「日常」をすっかり洗い流してくれる。
小さな美術館。北鎌倉にある「葉ショウメイ美術館」とともにかけがいのない場所となった。
火曜日ということもあってか、ギャラリーは私一人で、暫くその空間を独り占めできた。
水の音が聞こえる。
光が、空間を彩る。
風が魂をとおりぬけていく。
宇宙には、こんな時間が流れているんだ・・・。
この後、挽きたてのコーヒーを頂きながら、写真集を堪能した。すぐに帰るつもりだったのに、なかなか腰があがらない。
浅井さんの哲学に打たれた。
写真集、小説、紀行文、3冊の本とともに、泣く泣く帰途についた。