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私も読書感想文を書いてみましたw

2014/07/10代表ブログ

私も読書感想文を書いてみましたw

マインズでは、スタッフに月一回、読書感想文を書いてもらいます。
美容師たるもの、心を磨かねばお客様の満足を得ることは出来ません。
最近では、だいぶ文章力が上がりました。
いつもコメントだけなので、今回は私も書いてみました。


海賊と呼ばれた男 百田尚樹著
「海賊と呼ばれた男」が本屋大賞をとって書店に並び始めた頃、読んでみたいがこの厚さは文庫になるまで待とうと思わせるに十分でした。とりあえず文庫になるまで、違うもので百田尚樹を知っておこうと思い「永遠のゼロ」を手にしました。戦時中の緊迫した心理状態の中、最後の決断をするに至った主人公「宮部」の心の動きに、すさまじい感動を覚えました。すっかりはまってしまった私は、「幸せな生活」「風の中のマリア」「プリズム」「モンスター」「影法師」「輝く夜」「夢を売る男」次々に読みまくりました。その読みやすさと、毎回違うテーマ、巧妙な終わり方。読んでいない百田さんの作品がどんどん減っていきます。そして、どんどん「海賊と呼ばれた男」に近づいていきます。すべて読み終わっても、まだ文庫にならないな。そう思ったとき、スタッフからこの本をいただきました。ついに読めということですね。今までの作品に比べて、数倍のボリュウムがあります。でも、風呂を出なければ茹で上がってしまう。(風呂の中で本を読むことが一番多い)明日も仕事、寝なければならないと言い聞かせながら、泣く泣く本を置きました。内容はすさまじいものです。本の中の名前は変えてありますが、出光興産の創業者「出光佐三」さんの実話だということは誰にも分かります。「半沢尚樹」で有名な池井戸潤さながらの逆転に告ぐ逆転劇。アメリカの石油3大メジャーだけでなく、国内の石油会社にも一社だけ敵対視され続けるにもかかわらず、決して自分の信念を曲げずに自らの利益を捨ててまで、会社のためならぬ「国のため」に戦い続ける男の物語。私の人生が、こんな物語になることはないでしょう。人が絶対にやらないということを、「それなら自分がやる」と言って、身体を張ってやり遂げる。今の時代にこんな人間がいるだろうか?更に特筆すべきは、すべての社員がみな同じ志しで身を捨てて「信念」のために、そして店主である国岡のために、絶対に人がやらないであろうということを笑ってやり遂げるという事。また、国岡は会社にタイムカードというものを置きません。「社員を信じている」という信念からだそうです。そんな信念に、社員はみな店主を信じきって動くのだと感じます。鏡の法則です。残念ながら、今会社を経営していてタイムカードを置かないわけには行きません。お役所に勤務状況を提出する機会が多々あるので。私たちは、別の方法で社員との絆を深めていかなければなりません。ただ、信じていれば必ず伝わると信じています。もうひとつ、作中に「日田」と言う人物が登場します。かなりの資本家ですが、国岡の「人」にかなりの額を投資します。国岡が失敗してもうだめだと言う時、一度ならず再度お金を工面します。今の時代にこんな人がいるでしょうか?日田がいなければ、国岡が世界に君臨する石油会社を作ることは不可能だったでしょう。この人間が動かす世に、「絶対」と言うものはないと思います。日田が信じたものを思うとき、「人が人を信じる」ということの重さ、意味を知ります。会社を経営するに当たっては「お金」がどうしても必要です。それと同じ、もしくはそれ以上に「人」が必要です。この物語は、この「人」に焦点を当てた物語です。「自分が持てる力すべてを使って、自分以外の大きな物のためにかけた人物」の物語。百田尚樹さんの物語はすべて「人」に焦点をあてているようです。私がもっとも興味を持っているのが「人」。だから、惹かれるんですね。この物語のクライマックスは、命を懸けてイランから石油を運んでくる場面。なのかと思ったら、2冊目の第4章「玄冬」だと私は思います。数々の困難を乗り越えてきた国岡商店。いよいよ地元徳山に一大製油所の建設を計画します。通常、建設会社との契約まで最低半年、通常1年かかるというものを設計図から見積もりも何もない状態でその場で即決契約。更に、規模から3年、急いでも2年半かかるというものを、なんと10ヶ月で完成させてしまう。もちろん、国岡一人でどんなに頑張ってもこれは無理です。国岡がどんなにすごい人でも、物理的には無理です。なのに、いくつか出てくる小さな難題をクリアしながらどんどんスピードアップしていく工事。これも、信念のなせる業なのでしょうか?人の心がだんだんひとつになっていく。無理だと誰もが思っていたはずなのに、誰もがいけるかもしれないと思い始める。その小さな心の集合体が大きな波になって全体を盛り上げていったのでしょうか?いくつもの「無理」がどんどんクリアされていく。プラスのスパイラルがどんどん加速していく。読んでいて圧巻です。この部分は途中でやめることはできません。この章の最後は、感動で胸がいっぱいになります。この第4章「玄冬」を読んだだけでもこの本を読んだ価値があると思います。財産のほとんどを親族でもない国岡につぎ込んで「夢」をかった日田。国岡を心から支えた弟の正明、懐刀の東雲、武知。ここには、日本の企業の正しい姿がある。人として生きていくことの正しい姿がある。人と人との関係の正しい姿がある。私もこんな風に生きてみたい。こんな会社を創ってみたい。何があっても、決してくじけず負けない。強い人間に、強い会社に育てていきたい。そして畳の上で、共に戦った人たちと最後の別れをしたい。小さくても、この世にこんな人がいたんだと。