約束
昨日は、毎月第三週日曜日に行っている私のセミナーの日でした。
今回は、前回のブログにも書きました「いま」がテーマです。
マインズは、入社面接の際に作文を書いてもらいます。
そのテーマは「マインズに入ってやりたいこと」「自分の夢」「自分の将来像」などです。
今回、「いま」をみんなに感じていただくために彼らが入社時に書いてもらった作文を自ら読んでいただきました。
決して忘れてはならないこと、昔書いた日記やそれに順ずる文章には必ずそんなことが書いてあるはずです。
私はこの作文を、マインズを独立するときに渡そうと思っています。一番大事なのは始める前の心だと思うからです。迷うことなく進んでほしい。
子を思う親の気持ちとはそんなものではないでしょうか。
そこまで考えて、自分の気持ちの整理のためにみんなと同じように作文を書いてみることにしました。
Mind of MINDS
マインズを、銚子にオープンしてから10年が経とうとしています。はじめは14坪の小さな店でした。3年半後に47坪の現マインズに移転し、1年前にthetaをオープンできました。
今、マインズはひとつの転機を迎えようとしています。
私がマインズを銚子にオープンした一番の目的は本物といえる美容師を育てたいという気持ちからでした。
私自身がまだ未熟なせいか、10年たった今、自分の気持ち、自分の技術、自分の感性を伝えるに至っていません。
しかし、私は自分のコピーを作る気はさらさらありません。教育者として一番いけないことがそれだからです。そしてそれは、自分の成長にピリオドを打つことにもなります。
教育者の基本は、自分を越える人間を育てること。しかし、何を持って自分を超えたと判断すればいいのでしょう。
それは、判断項目が10あったとして、そのうち5項目が自分のレベルを超えたと、事実として誰もが認識できたときです。
未熟な私一人がいろいろ考え、行動したところでなかなか人を育てることなどできはしません。私がまずしなければならないことは、一緒に生きて行きたいと感じられる友を作ることです。
友は年齢や経験は関係ありません。どこに存在しているか、場所や距離も関係ありません。美容、仕事、お客様、スタッフ、地域社会に対して真剣になれる人材であることが条件です。あらゆるものに興味を持ち、感じたことをいつも自分の人生に応用できる感性の持ち主。
決して人を非難せず、物事の本質について常に考えをめぐらせ、柔軟に対応できる。別の言葉でライバルとも言います。
結局人は一人では生きていけません。一人では大きくなれません。社会の中で、事実と真剣に向きあって、困難に打ち勝っていかなければならないのです。
私は一人で営業しません。もしまだあるのなら、自分の可能性をさらに知りたい。さらに伸ばして生きたい。私は一人でそれができないことを知っているからです。
私が考える夢のスタート地点は、3店舗スタッフ25人です。とても小さな組織ですが、お互いがお互いを育てあえる環境の最低ラインだと考えるからです。仕事上のリスクも最低限回避できる規模です。
私が考える理想的な店舗展開は、人が育ち、お客様があふれかえり、任せられるリーダーが存在し、もう1店舗出さざるおえない状態になったときです。
スタッフ全員が共感してくれ、4年後の目標から、今の自分の位置を真剣に考えて行動指針にすることができたら、さらに実りある時間をすごすことができることは間違いありません。
ここまで書いて、私は自分の気持ち、行動指針を整理していきます。
できます。
小さな困難はいくつか予想できます。それは人や、組織が成長する過程において必要なことだからです。
大きな困難も予測できます。今までもたくさんの問題を解決してきました。解決できない困難は無いのだと知ることができました。
仕事(美容師)をしていく上で、私が一番大事なことは何かと聞かれたら、「デザイン」と答えます。接客、技術の2本柱は、できているできていないに限らず、できていることが当たり前と考えます。
デザインを作るための技術ではなく、デザインそのものが大事です。
私が考えるデザインには、大きく分けて2種類あります。1つは形や色、目で見て何かを表現するものです。美容師ですから、ヘアースタイル、カラー、メイク、ファッション、トータルイメージなどが直接かかわってきます。美容師が勉強する中で一番時間がかかり、人に伝えにくく、もっとも大事なポイントです。
2つ目は、人生のデザインです。20代には目の前に控える課題をどんどんクリアしていきます。多少回り道をしても、間違いがあったとしても自分自身の問題である限り、この時期はある程度ゆるされます。頭で考えるよりも、若い元気な体を使って目いっぱいチャレンジすることが必要です。あらゆることに興味を持ち、片っ端から片付けていってもまだ有り余る体力をどうしようもありません。
この時期に、頭を使って賢く生きようとしたり、体力を温存してなんとなく休日を過ごしてしまう人は要注意です。
30代は20代で培ってきた成果を発揮する時期です。美容師に置き換えれば、店長やオーナーとなって今まで身につけた知識を、具体的に組織力として形にしていくときです。自分自身より周りのスタッフ、お客様、地域社会に対して影響力を持ち始めます。
40代は自分の次に人を育てていく人を育てる時期です。いわゆる右腕の存在です。今まで自分が動かしていた組織を別の人間が動かし始めます。全員に目を向けていた30代から組織のトップに力を集め始めます。
50代は次の人生を考え始める時期だと私は考えているので、この40代にしなければいけないことが山積みです。夏休みの宿題を、いつも31日に終わらせていたことを思い出します。
大まかな、そして一面的な人生のデザインですが、人生は加速していきます。そして、後になって「こうすればよかった」という考えを許してはくれません。幸い、20代、30代でやってきたことは、大きな失敗も含め40代を形成するいい肥やしになっています。
20代と違って今の私は大きな失敗はゆるされません。だからといって保守的にもなりません。人生はチャレンジです。やってみなければわからないことばかりです。それが、20代のときに比べてとても少なくなっただけです。目の前にチャンスがあればものにします。無ければ、困難でさえチャンスに置き換えて、今後の人生をデザインしていきます。
今後の人生が実り多きものになるか、そうでないか、それを決めるものは1つです。
心から信頼し合える「友」の存在です。
2005年7月31日 オーナーセミナーにて